はじめに
ベトナムの観光地といえば、ホーチミン、ハノイ、フエ、ダナンが有名。
今まで旅してきたハザン、ドンヴァンなど地名を聞いても、もはやどこの国なのか大半の人が分からないはずである。そんな記事に興味を持たれないかもしれないが、ベトナムの山岳地帯や小数民族の暮らしに接することで、祖父母以前(〜昭和前半)の日本人の暮らしを想像するきっかけとなったりする。また、最近、ダイバーシティー(多様性)とか言われるが、少数民族の多様な文化や社会をお互いに認め、融合している姿は、戦争や紛争だけでなく小さな人間関係の衝突を避ける考え方や哲学的なものを見出す可能性かあるかもしれない。そういう多様性を認めて、暮らしている民族がいることを知ってもらえればと思う。
本日滞在しているサパはベトナムの山岳エリア。今年は台風が来たりして、通常は9月で雨季が終わるはずが、11月になっても天気が悪い。サパは霧の中。視界は数十メートしかない。

そこで、トレッキングを諦めて、毎週行われるコックリーの火曜市を見学してきた。地球歩き方でも、コックリーの火曜市については、「コックリーでは火曜の朝にマーケットが開かれる」と書かれているだけである。コックリーは英語で、COC LYと書いて、読むことすらままならない地名である。
サパからコックリーまで84km。サパから中国との国境の町であるラオカイを通って、2時間15分ほどかかる。ラオカイ〜ハノイは高速道路があるが、サパからコックリーまでは一般道路で行く。
ラオカイでは中国に歩いて入国できる。その国境を見学し、ザイ族の村を訪問してきた。また、シナモンとタピオカがどのような木から作られているのかも初めて知った

コックリーの火曜市
コックリーは小さな村で、火曜市は村の外れの少し高台で開催される。日曜日に行ったドンヴァン日曜市は町の中心部で開催されていたが、こちらの火曜市は村の素朴なマーケットという感じがした。
主に花モン族、ザイ族、ヌン族が集まってきて、家畜類、食糧品、服、雑貨などが売買される。地元民のマーケットである。観光客はわずかしかいないが、観光客向けの工芸品も売っており、品質もサパで売っているものと変わらない。
【花モン族(Flower Hmong)】
花モン族は、襟から右脇にかけて刺繍が入ったシャツを着て、カラフルなスカートを履いている。ベトナムの小数民族で最も色鮮やかな衣装である。コックリーの火曜市で一番多く見かけた。サパにいるのは黒モン族で、藍色が多い服装である。

【ヌン族(Nung)】
下の写真は、ヌン族かもしれない。モン族のスカートスタイルと違って、黒のパンツスタイルである。

【家畜の取引】
もはやこの辺りのマーケットで家畜類が取引されるのには驚かなくなった。ただ、取引される家畜の数が多い。特に、水牛が多く取引されている。

地元の人の足元は長靴スタイルとサンダルスタイルに二分される。ぬかるんだ路面、および色々汚物が道にあるので、長靴が一番楽なのだろう。一方、暑さ対策にはサンダルで歩く人も多いが、一瞬で汚れてしまう。日本人にはハードルが高い。

水牛が購入されて、男性に連れられて帰っていく。水牛の用途は、食べる・農業・闘牛である。見た目はいかつい角を持っているが、温厚で暴れたところを見たことはない。村の道では、小さな子供が水牛を連れて歩いているのを見かけたこともあるくらいだ。

ヤギも豚もカゴに入れられてバイクの荷台に乗せられて運ばれてくる。

モン族が飼育するのは、基本的に黒豚。日本で一般的なのは白豚(White pig)と呼ばれている。黒豚が高級なのは、サイズが大きくならなくて、さらに味が良いからであるというのがよくわかる。

アヒルが珍しかっので、写真で撮った。もはやニワトリは普通すぎて、写真すら撮っていなかった。ベトナムでは闘牛も有名だが、ニワトリを闘わせる闘鶏も人気がある。

【火曜市の風景】
おばあちゃんが子供を背負って世話をしながら市に来ていたりもする。食堂もありご飯を食べたり、この市で久しぶりに会う人たちとのおしゃべりに余念がない。村の交流の場でもある。

子供の服類は3つで10万ドン(約700円)であった。若者世代は、民族衣装を着なくなっている。

高級ブランドっぽい鞄や服も売っている。小数民族衣装なのに、CHANELの上着を来ている少数民族もたまに見かける。

子供靴が雑然としているけど、芸術的な感じで積み上げられて売られていた。ベトナムの子供の数が多くて、子供用の売り場が多く見られる。

ハレの日に着る花モン族の民族衣装の陳列スペースが多くあった。この衣装を着て、結婚式などに出席する。

【食料品の売買】
肉は、牛・豚を丸ごと解体し、量り売り。気温が20度くらいの常温に置いてあるけど、特に冷蔵にを気にしない。

見たこともない食材が数多く売られていた。

【スペアーキー作成】
スペアーキーを作る機械がバイクに乗せてあった。この辺りの村でも、鍵の需要はあるようである。

【運転手の買い物】
今回、コックリーへ連れて行ってくれた運転手さんは、副業で薬の製造もしている。驚いたのは、薬を作るために、いも虫(釣り餌で使うぶどう虫にみえた)を大量に購入。竹筒2本分もあり、40万ドン(約2800円)もした。ローストして、米のお酒に漬けるとのこと。

竹筒からビニール袋に移して、重量を計測。そして持ち帰りのために竹筒に戻す。釣りでぶどう虫を使ったことが一度あるけど、これだけの大量のぶどう虫はお目にかかれない。

ワサビのような野菜も大量に購入。形は似ているが、色がワサビと違って白色である。これも薬の製造に使うとのこと。運転手さんは、自分のことをMedicine Manと呼んでいた。

【お土産購入】
お土産としてクションカバーを購入。家でこの上で寝転んでいると、ベトナムの思い出が蘇る。前日にサパで値段をチェック。その価格の半分以下で購入できた。最初、高い値段をふっかけてくるので、そこから交渉。帰るそぶりを見せると言い値になったりする。原価割れみたいな時は、それ以上交渉してこないので、わかりやすい。



ラオカイの中国国境
ラオカイは中国雲南省と接する国境の町。国境には2本の橋が架かっており、1本は鉄道用で、もうひとつは歩いて人が渡る橋となっている。ホーキエウ橋という。意外なほど川幅が狭く、1分もあれば渡れてしまう。
日本人の入出国は特に問題ない。運転手さんによると、許可証があれば、ベトナム人は15ドルで12時間の中国滞在が可能。パスポートは不要とのこと。当然、上海や北京に行く場合はパスポートは必要。

ラオカイ駅からハノイまで鉄道で移動できる。高速道路が出来るまでは、鉄道での移動が主だったが、今は車やバスでの移動が主になっている。以前、駅前は栄えていたが、今は少し寂しくなっている。

昼食はラオカイで昼ごはん。

ベトナムの食事の時をマナーを教えてもらう。お茶碗に箸をまっすぐ立てて置いていると食事中の意味。日本のように横に置くと、食事終了の意味。ご飯をよそう時は、2回と決まっている。3回以上もダメ。他の人におかずを取ってあげるときには、箸の反対側と使う。自分に取る時は食べる側を使って良いとのルール。ナプキンなどゴミはゴミ箱に入れないけれど、食事のマナーは、色々と厳格にあるようだ。

ザイ族の村を散歩
ラオカイ周辺で、標高200mあたりに住んでいるザイ族の村を2kmほど散歩した。モン族と違って、平地に畑が広がる。

村の中には、小さいながらも商店がある。

子供達も外国人にすれていなくて、ハローと言って元気に自転車で走り抜けて行った。

池があり、魚、うなぎ、カエルを養殖している。

ビニール栽培で、色々な花を栽培していた。それ以外にも桃やパパイヤの木もあった。桃は、新年に咲くそうそうだ。日本より2ヶ月くらい早く咲く。

シナモンとタピオカの木
車道沿いにはバナナのプランテーションを多く見かけた。バナナは手間が掛からなくて育ちが良い。それ以外には、シナモンとタピオカの木が栽培されていた。どちらも初めて見る。
シナモンは樹皮をはぎ取って、乾燥させて作られる。樹齢としては7年〜12年くらいが収穫期間で、庭にあるくらいのサイズの木だった。太い幹は、家具などにも使われる。

歯をちぎって、茎の部分をかじると、濃厚なシナモンの味がした。

タピオカの木もたくさん植えられていた。地面に埋まっている根の部分がタピオカの原料になる。

下の写真のように、タピオカはさつまいものような形をしている。こんにゃくと同じように作られるのだろう。

茶畑もあったが、日本のように綺麗に整備されておらず、葉っぱが伸び放題。多くのてんとう虫を一枚の茶葉に群がっていた。お茶よりシナモンの方が高級で、シナモンの木を多く見かけた。

水田の稲刈りはどこも終わっていたが、わずかながらも陸稲栽培の稲は収穫前だった。陸稲のお米の方が香りが良く、ラオスでこれを蒸したご飯が美味しかったのを思い出した。

コックリーの村の近くの風景。標高は250mくらいと決して高くない。ただ、近くの山は標高600mくらいで、上の方に花モン族が暮らしている。

今回は、コックリーの火曜市に行ってきた。日本には三日市や四日市という地名がある。日本でもこのような市が多く開かれていたのだろう。

コメント