赤ザオ族の家に泊まって薬膳風呂に入る
ベトナムサパのトレッキング2回目は、サパの北方10kmくらいにあるタフィン /Ta Phinに宿泊しました。赤ザオ族の家で、予想もしない経験を3つしました。グループトレッキングがないエリアなので、ツーリストはごくわずか。こういう所では、予想外の経験ができます。
赤ザオ族は、クリスマスのような赤い頭巾をかぶっています。 女性は結婚すると髪の毛と眉毛を剃り落とす風習がありますが、若い人ほど普通です。年配の方の中には、眉毛がないため、目つきが少し怖い感じがしますが、フレンドリーです。

この部族の特徴的なのは、野草の知識は豊富なことです。何故か彼らも知らないけれど、代々伝承されているとのこと。最近は、祖父母の世代に比べて、市販の薬に頼ってしまうため、知識の伝承は薄らいできているとのことです。
一方、黒モン族は、黒い染物が得意であったり、鍛治能力が高いとのこと。色々得意分野が違うようです。
タフィンには、赤ザオ族と黒モン族が住んでいます。やはり、赤ザオが低地側、黒モン族が高地側との住み分けがあるようです。
【薬膳風呂】
食後に、「ハーバーバスをtakeするか?」と言われて、私の英語力では、「港のバス???」という意味かと思いました。ベトナムでお風呂のことを聞かれることを想定していません。何度か聞いて、”Herbs bath/ハーブの風呂(薬膳風呂)”ということを理解できました。
観光用と疑いましたが、「冬場は週に6回入るよー」と18ヶ月の子供を持つお母さんが言ってました。「夏場も週3〜4回入る。暑いのでシャワーが増えるよ」とのこと。観光用ではない。日本人と同じでなのにびっくりです。
ということで、薬膳風呂にチャレンジ。薪でお湯を沸かして、薬草と一緒に入浴のイメージでしたが、近代化されいます。お風呂は樽風呂で、個室と2人用があります。蛇口が2つあり、水と薬草入りのお湯(赤茶色で、鉄分豊富の温泉のよう)がそれぞれ出ます。赤ザオ族の方がお湯を溜めておいてくれて、あとは自分で調整するという方式です。
お湯を入れた直後は泡立っていました。徐々に泡は消えました。。頭からかけて、頭も洗います。
入浴時間は、25分〜30分。入浴後はタオルで拭くだけです。水で洗ってはいけません。入浴後、30分くらいで眠ってくださいとのこと。おかげさまで、トレッキングの疲れは吹っ飛んで熟睡💤
風呂文化は日本だけでないという驚きです。


【晩ご飯を一緒に作る】
晩ご飯は一緒に作ります。定番の春巻き作り。ライスペーパーは日本の餃子のように、買ってくるみたいです。

電化されていて、ガスもありますが、かまどは必需品。暖を取るのと防虫に必要。さらに、食料の保存のため燻製を作ります。2階には穀物を保存しているので、そのためにも必要なのかもしれません。

とうもろこし、豚肉など出来るものは何でも燻製にします。夕食で、豚肉の燻製を焼いて食べましたが、生肉より美味しいかったです。牛一頭を捌いても、一度に食べられないから燻すのでしょう。

晩ご飯の用意が出来ました。簡易テーブルで食卓を囲みます。大皿調理系で、直ばしでおかずをご飯の上に取ります。取り皿はなし。民族衣装は、観光用のコスプレではないです。村の人も着ています。みんなにこやか。

ご飯の横にさりげないなくお猪口があります。米焼酎のようなお酒を飲みます。普通に美味しい。
おかずは、左上から時計回りで、苦味系の野菜炒め、春巻き、タケノコとスペアリブの煮物、キャベツ系甘めの野菜炒め、燻製豚肉の炒め物。
最後に、真ん中はトマトチリソース(かまどでの手作り)です。トマトと赤唐辛子を焼いて、ボウルで潰します。そして、塩で味を整えます。日本で作ってみます。

野菜は本当に豊富で取りたて。露地栽培です。お米も裏の山で作ってます。

朝食は、パンケーキを作ってくれます。多分、クレープみないなものなので、赤ザオ族の皆さんと一緒のもの頂きました。歩いて、バランスの良い美味しい物を食べて健康的です。
映画「グラン・トレノ」で、クリンストン・イーストウッドが少数民族(黒モン族の移民者)に言ったセリフ「こいつらの方がまともなものを食ってるな。」実感しました。
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【ふりかけは鰹節】
3つ目のびっくりは、山の中で鰹節。右のもの(器にレンゲが入っているお皿)が鰹節ふりかけです。
魚というので、川魚と思って、食べてみたら、海の魚にしか思えない。聞いてみたら、海の魚とのこと。鰹の写真を見せたら、写真みたいに大きくないけど、そんな感じと言ってました。
あと、下の漬物は高菜漬けそのものです。歩く前の朝ご飯、ご飯3杯いけちゃいました。

鰹節をご飯にのせると鰹節ふりかけにしか見えない。味も鰹節。

宿泊先:May Kim Ta Phin HomestayMay Kim Ta Phin Homestay
今回宿泊したのは、『May Kim Ta Phin HomestayMay Kim Ta Phin Homestay』です。
Booking.comでも予約可能です。必ずしも歩いてくる必要はなく、サパからGrabあるいはタクシーで行くことも可能です。
伝統的な家の横に、ゲスト用のログハウス風の家が併設されています。清潔な部屋で、マットレスと布団も心地良かったです。


伝統的な家は、1階に土間とかまどがあり、2階に食料貯蔵室があります。



【祈祷師(shaman)】
この家のお父さんは祈祷師(shaman)で、留守が多いとのことです。映画「グラン・トレノ」でも出て来たので、単語を聞き取れて、わかりました。お父さんにお会い出来ませんでしたが、謎めいたものに一歩近づいた感じがしました。そして、お父さんが帰っきて会う夢をみました。
【ネコ】
ベトナムの家には猫がいる。どうしてだろうを思っていたら、保管している食料を食べるネズミ対策とのこと。納得しました。
思い出したのが、やまとけいこさんの『黒部源流山小屋暮らし』です。山小屋でヘリコプターで輸送した食料を保管し、それを狙ってくるネズミとの戦いのエッセイを思い出しました。山小屋にもネコを連れて行くと良いかもしれない。
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ルート概要
サパの標高が高いので、出発して下り基調のルート。北部はグループツアーがないので、プライベートツアーをアレンジしてもらいました。北部のツーリストは少ない。南部の数パーセントもいません。売り子もモン族のおばあちゃんだけでした。
天気が悪くて、山々は見られませんでしたが、棚田ときっちり整備された畑は綺麗でした。南部より人もバイクも少なく、車はあまり走っていなくて、静かです。江戸時代の街道ってこんな感じなのかも思いました。静かな田園風景、里山の普段の生活に触れることができます。
<1日目>
サパ/Sapa →マーチャー/Ma Tra → タフィン /Ta Phin(宿泊)
<2日目>
タフィン /Ta Phin →チュンチャイ/ Trung Chai →車でサパに戻る
【ルート図】

アレンジしてもらったツアー会社は、『Authentic SAPA Tour』です。
留守番のおじいちゃんが、サパを入れてくれたのが、このツアー会社とした決め手です。対応してれた社長は、地図をきっちり折ってくれたし、感じが良かったです。私と同じく、字が下手なのも共感しました。
【標高グラフ】

1日目:サパ/Sapa →マーチャー/Ma Tra → タフィン /Ta Phin(宿泊)
昨晩、叩きつけるような雨で、増水した小川の音で目が覚める。微妙な霧雨。
トレッキングの前の朝ご飯は米だ。大盛りチキンチャーハン。これだけ食べれば20kmだって歩ける。

ホテルの可愛い犬の視線を感じながら朝ご飯を食べる。

Grabでタクシーを呼ぶと数分で来る。郊外でも問題ない。昨晩の雨で、主要道路で片車線陥没があり、修理を開始していた。
今日のガイドは黒モン族の3人(12歳、10歳、8歳)のお母さん。名前は、バン(Vang)さん。16歳(18歳かも)で結婚したそうだ。昔はそのくらいで結婚するのが普通で、最近は22歳くらいかなと言っていた。3人の子持ちでも30歳くらいかな。
まず、サパ市内を歩く。

サパ湖の北岸はおしゃれ建物が多い。ヨーロッパみたい。

町を抜けるとすぐ水牛。安全な動物とのこと。

雲が低いが素敵な里山風景。

モン族の集落を抜ける。お母さんが子供に怒っている。気まずい雰囲気の中、横を通り過ぎる。

集落を抜けると素敵な棚田。

この葉っぱは、野菜でなくてお茶とのこと。イメージがわかない。

棚田近くのモン族の家。

綺麗な畑地帯に入る。農家の方がしっかり整備しているのがわかる。

今日も景色の良いレストラン。初めて焼きそばを食べる。春巻きと炒め物付きで豪華。

この葉っぱで、黒モン族染め物をつくる。何度浸けて4ヶ月かかる。

棚田の上の方で、タネを撒いていた。芽が出たら、下の棚田に、苗を植え替えるとのこと。狭いので、ほぼ手作業。耕す時には水牛が頑張る。

本日泊まるタフィン村が見えてきた。

ホテルに荷物を置いて、タフィン洞窟に向かう。ベトナムでは洞窟巡りが多い。ここの洞窟は30mくらい。見る価値は特にない。見どころは、入り口で懐中電灯を貸し出すしつこさと物売りのしつこさとだ。ヘッドライトを持っていたので、残念そうだった。ごめんね。

2日目:タフィン /Ta Phin →チュンチャイ/ Trung Chai →車でサパに戻る
2日目のスタート。タフィンの村と山も少し見える。今日は天気が良くなるといいなと期待が膨らむ。

タフィン村を抜けると、ガスって展望なし。林道をひたすら歩く。
ガイドさんも通ったことのない難所を下って遠回りしてみることにする。山道に入る。

そして、泥沼化した棚田を下って行く。自分は1度大きく滑るが、ガイドさんは携帯片手にGoogleマップ(衛星地図)で確認しながら、滑らないで下りて行く。下りは得意な方だが、普段ストックに頼りすぎだ。今日はストックがなくて、上手くバランスが取れない。さすが黒モン族、山の民の歩きだ。靴もローカットで防水なし。靴底もいたって普通。まさに「弘法筆を選ばず」である。良い勉強になった。

少しこりごりしたのは、棚田にある牛糞。滑りやすいところにこの黒い物体がある。絶対に滑ることはできない。脚に余計に力が入る。日本ではなかなか味わえない緊張感を体験した。
林道に出ると、子供が水牛の散歩。犬のように首に紐をつけて連れている。

もう一回山道に入ろうと誘われる。1度断ったが、2回目誘ってくる。こういう場合は、誘いにのった方が正しいはずと山道に入る。周りはホワイトアウト状態に近い。


2人でルートファインディングする。そっち行くと谷だから、急なのでは?橋の下を潜ってしまい橋に出れなくなる。尾根道を真っ直ぐ下りようと話しながら下る。

ちなみに、谷は”valley”という英単語はみんな知っている。尾根ってどういうのか英語で知っているかい? 辞書で調べると、”ridge”という。とても”ridge”では伝わならそう。こういう時は、尾根を指さして”This way”と言えば伝わる。
何とかルートファインディンしながら車道に出る。

サパ〜ラオカイの間の大きな橋に到着。晴れていれば、絶景みたい。写真を見せてもらった。夏においでとのこと。営業がうまい、夏に来たいと思った。

車道に出て、少し登って、車にピックアップしてもらってサパに戻る。サパまで11kmくらい。

どろんこの田んぼを歩いたので、サパで購入した靴はドロドロになる。一応、North Face。破格の値段。防水と書いてあるが、水が染みてくる。。。

サパ市場でフォーを食べる。食材の何であるのか展示を見ればよく分かる。


サパ市場のお土産屋を覗いてみる。少数民族の人が売りに来ている。道での売り子かサパ市場どちらが安いか交渉みて欲しい。


ヨーロッパのようなサパ湖を通って、ツアー会社まで歩き、荷物をピックアップする。

ホテルにチェックインしたら、隣がランドリー。泥々のズボンなど一式選択できた。
Good bye SAPA!
トレッキングの翌朝、サパを出発しハノイは向かう。初めての晴れ。遠くの山々が見えた。ハノイに到着して、空気の悪さに辟易する。すでに、サパ滞在を懐かしむ。
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