はじめに
出雲大社を参拝後、一畑電車に乗って、松江しんじ湖温泉駅に到着。そこから松江城を通って、小泉八雲記念館と旧居を巡ることにした。
予定を決めていない旅。行き先も宿泊先も決めることは出来るだけ後ろ倒しにして、流れに任せて感覚で決める。そうした方が新しい発見があって、心地よい感じがしている。
竹島資料館
松江城へ向かう途中、「ミートショップきたがき」で手作りビーフコロッケを買って、店先で食べる。しまね和牛を使ったコロッケで地元で人気のようである。揚げたてのコロッケは美味しい。粘度のあるじゃがいもで、中はねっとり系。少し味わいの違うコロッケ。一つで物足りなかったので、隣にあったミンチカツを買っても良かったかもしれない。

途中に「竹島資料室」があったので、寄ってみた。
竹島が日本の領土であることを知ってもらうために、島根県が作った資料室である。日本の領土なのに行けない竹島。韓国と見解の違いで、現在は武装した要員を置いて竹島の不法占拠を続けている。平和的に解決するために島根県は取り組んでいる。その現状を正しく知ってもらうために島根県庁の一部に竹島資料室がある。


松江城
松江城は国宝。400年以上前の姿を残す天守閣を持つお城は日本に12のみ。松江城は国宝の5城のひとつである。
- 弘前城(青森県)
- 松本城(長野県) ★
- 丸岡城(福井県)
- 犬山城(愛知県) ★
- 彦根城跡(滋賀県) ★
- 姫路城(兵庫県) ★
- 松江城(島根県) ★
- 備中松山城(岡山県)
- 丸亀城(香川県)
- 松山城(愛媛県)
★:国宝

掘尾吉晴が築城した実戦向きに工夫されたお城。籠城戦用の井戸があったり、見えないところに石落としを設置していたりしている。鉄砲や矢を撃つ狭間と呼ばれる窓が敵からわかりにくいようにするために壁を黒く塗っている。

天守閣を支える最大の柱。樹齢何年の杉の木なんだろうか?そして動力のない時代に運ぶ苦労は想像もつかない。

桐の急な階段を登って天守閣まで行く。特に、宍道湖方面の眺めが素晴らしい。

船に乗ってお堀を一周することもできる。屋根付きの小船で、冬場はことつも付いているようだった。

小泉八雲記念館と旧居
最初に、小泉八雲記念館を見学。小泉八雲はギリシャで生まれたアイルランド人。父はアイルランド人で、母はギリシャ人である。アメリカでジャーナリストをしている時に、万博で「古事記」を知って、日本に興味を持った。そして39歳の時に日本にやってきて、雪女や耳なし芳一などで有名な「怪談」など数多くの本を出版している。

色々な国に住んで苦労をしている。左目を失明という経験もしている。そのためなのか日本人では気づかない「日本人の精神性」を汲み取って、言語化している。
「日本の面影」という随筆を読んだ。小泉八雲が最初に横浜に着いてから出雲に移動するまでの数ヶ月を書いた内容。日本人の精神性や当時の暮らしぶりなどが書かれており、感銘を受けた。
日本に来て数ヶ月で、日本人の精神性や神道について、深く洞察して言語化できるものだと思った。
この国の人はいつの時代も、面白いものを作ったり、探したりして過ごしてきた。ものを見て心を楽しませることは、赤ん坊が好奇心に満ちた目を見開いて生まれたときから、日本人の人生の目的であるようだ。その顔にも、辛抱強くなにかを期待しているような、なんともいえない表情が浮かんでいる。なにか面白いものを待ち受けている雰囲気が、顔からにじみ出ている。もし面白いものが現れてこないなら、それを見つける旅に、自分の方から出かけてゆくのである。
日本人は驚くほど健脚家で、疲れ知らずの旅人だ。彼らは神仏のために巡礼しているというより、むしろ見たこともない美しいものを求めて、自らの楽しみのために旅をしているのではないだろうか。どの寺も美術館のようなものだし、国中の山や谷には、かならずやそういった寺があり、人目を惹きつけてやまぬものが存在している。
「新編 日本の面影」より
神道を単なる祖先崇拝だとする者もいれば、それに自然崇拝が結びついたものだとする者もいる。神道とは、およそ宗教とは定義できないとか、無知な宣教師たちには、最悪の邪教だとか言われたりもした。神道を解明するのが難しいのは、つまるところ、西洋における東洋研究者が、その拠り所を文献にのみ頼るからである。つまり、神道の歴史を著した書物や『古事記』『日本紀』、あるいは「祝詞」、あるいは偉大な国学者である本居や平田の注釈本などに依拠しすぎたせいである。ところが、神道の真髄は、書物の中にあるのでもなければ、儀式や戒律の中にあるのでもない。むしろ国民の心の中に生きているのであり、未来永劫滅びることも、古びることもない、最高の信仰心の表れなのである。
「新編 日本の面影」より
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松江城のすぐ北側に小泉八雲記念館と旧居はある。

次に、小泉八雲旧居に入る。

三方が庭に囲まれた家。侍の屋敷に住みたいという小泉八雲の希望で借りることになった。特に、庭を気に入っていたとのこと。
緑鮮やかな小高い隆起は、川の流れを模した、絹のようになめらかな淡黄色の砂地から盛り上がっている。その砂地の上は踏んではいけない。踏むにはあまりにも美しすぎる。
「新編 日本の面影」より

この机と椅子で、執筆活動をしていた。普通の椅子に比べて、ずいぶん高さがある。机の上には法螺貝が置かれてある。

松江ユニバーサルホテル
松江駅前の「松江ユニバーサルホテル」に宿泊。1泊2食付きで、4,500円くらいと破格。夕食は期待していなかったけど、普通に美味しい。サラダーバー付き。コスパの良いビジネスホテルだった。



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