概要
一度通しで歩いてみたかった「山辺の道」。暑くなる前に行ってきた。4月は新緑が綺麗。5月も棚田の田植えが始まっているので、良いかもしれない。
「山辺の道」は、日本の古道の代表的な一つ。大和の古道の一つ。日本現存最古の道として知られます。 奈良盆地の東南にある三輪山の麓から東北部の春日山の麓まで、盆地の東縁、春日断層崖下を山々の裾を縫うように南北に走る道です。
最後の奈良市内で春日大社には行かず、食べ&飲み歩き、そして街歩きをした。
- 入江泰吉記念奈良市写真美術館で、「大和路の国宝」展を鑑賞する
- 新薬師寺付近の「麹料理とビオスチームのお店 えん」で、昼ごはんと利き酒セットを飲み食いする
- ならまちの「京勘中井酒店」で、利き酒をして日本酒を購入する
- ならまちの「春日庵さつま焼」で、黒蜜きなこわらび餅のかき氷とさつま焼を食べる
- 近鉄奈良駅近くのアーケード街の「山崎屋」で、奈良漬を購入する
三輪〜天理あたりは、名所がたくさんある。今回は、桜井駅〜奈良駅まで通しで30km以上歩いたが、三輪周辺を重点的に見るというのもお勧め。樫永さんが書いた下の地図が参考になり、本にして欲しいくらいレベルの高い地図。

【登山ルート】 距離 31.8km 登り 519m 下り 501m
桜井駅をスタートして、奈良駅まで歩いた。累積獲得標高は500mくらいで、登山としては少なめだが、距離は30kmを超えるので、脚にこたえる。
名所が多すぎて、一気に歩くと記憶も曖昧になる。日本書紀&古事記という伝存する最も古い史書の時代の道を歩くので、1500年くらい前の思い描いて歩いた。
奈良盆地の平らなところを歩くのでなく、盆地の縁を歩くため、小さなアップダウンが続く。それにしても、最古の道は、平地でなく盆地の縁を歩いたのだろうか?と不思議に思いつつ歩いた。
周辺情報(奈良市写真美術館・京勘中井酒店)
【入江泰吉記念 奈良市写真美術館】
「大和路の国宝」という展示会がされていた。今までは、実物の仏像の方が良いのに、なぜ仏像の写真を撮るのかと思っていた。しかし、入江氏が仏像を撮ったときの気持ちが書かれており、その言葉と写真を見比べると理解が進む。特に、東大寺の「広目天像」(※)を撮ったとき、「広目天の鋭い眼差しに、私の賢しらな行為をあざ笑うかのように、また、諌めるかのように感じられ、恐れをなしたものである」と説明されてあった。写真を見ると、その入江氏の気持ちがよく分かる。仏像と対峙して、全身全霊で撮りきったことが分かった。実物の仏像を見ても、自分ではそこまでしっかり対峙できない。入江氏の気持ちを知ることで、仏像をより深く理解できるのだと思った。
入江氏は、広目天像を撮った時のこの衝撃により、「仏像をただの彫刻でなく、祈りの対象として見るようになった」と美術館のビデオで説明していた。仏像を取り始めたきっかけは、戦後、仏像が疎開先から帰ってきたのに見かけたことである。そして、進駐軍に持って行かれる前に、写真家として記録しておこう。それが自分の使命と思ったことがきっかけだった。
また、「良いものを取るより取り続けることが大切」という気持ちで撮り続けていたことが印象に残った。父が遺した入江泰吉写真集をじっくり見てみようと思った。
(※ リンクの写真は広目天像の横顔だが、写真展で見たのは正面の写真、その写真に感銘した)

【京勘中井酒店】
利き酒をしながら女将さんと長々とお話をした。奈良のお酒の話、山辺の道のこと、昼ごはんを食べた場所など。
手頃な値段で色々なお酒を楽しむことができた。「阿吽」というお酒がこの酒屋のプライベートブランドであると聞いた。「みむろ杉」で有名な今西酒造が作っている。しっかりした味なのに、後味がすっきりしている。あまり飲んだことのない味で美味しい。
「みむろ杉」は聞いたことがあった。調べてみたら、奈良県のお酒ランキング1位。そんな酒蔵に、プライベートブランドを作ってもらう店主は只者ではないと思った。

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山行記
桜井駅をスタート。駅前には、山辺の道の説明がある。街中は迷いそうだったが、道路に埋め込まれたタイルや随所にある標識で、わかりやすい。

JRの踏切を通ると、三輪そうめんの工場がある。街中を抜けると三輪山が見えてくる。

山辺の道では、懐かしい感じの集落を抜ける。祖父が桜井出身で、子供の頃に連れて行ったもらったことを思い出す。日本の古の里山風景が残っている。


最初のお寺は平等寺。開基は聖徳太子と伝えられていて、やはりこの辺りは歴史がレベル違い。島津義弘という幟がある。関ヶ原の合戦で敗れた島津義弘がこの寺に逃げ込み、70日間滞在し、薩摩に帰国したとのこと。島津義弘の撤退について、池宮彰一郎氏の「島津奔る」で読んで感銘を受けた記憶がある。
注)「島津奔る」という本は、司馬遼太郎氏の「関ヶ原」との類似の問題で、2003年に絶版・回収となった。池宮彰一郎氏は69歳で作家デビューという経歴で、司馬遼太郎氏を敬愛しており、知らないうちに類似する表現となったのかもしれない。良い本だったのに、残念。まだ家に本があるので、読み返してみよう。

歩き始めて、30分ちょっとで三輪明神 大神神社に着く。
大神神社は、日本最古の神社の一つで。三輪山自体を身体とする独特の信仰形態が特徴。本殿を設けず、拝殿から三ツ鳥居を通して山を拝む形式は、古代の神社の姿を伝える貴重な存在。
三輪山への登拝は9時〜12時のため、今回は登拝を見送った。



檜原神社は、伊勢神宮の祭神、天照大御神(あまてらすおおみかみ)が現在地に移る以前に一時的に祭られ、「元伊勢」と呼ばれる。またまた、すごい歴史を持っている神社とお寺が連続する。
ここからは二上山が綺麗に見える。いつも大阪から見ているのと逆のシルエットだ。

レンゲが咲いていて、素敵な里山風景。子供の頃に朝日新聞の日曜版で連載されていた原田泰治氏のレンゲ畑の絵を思い出した。こういう風景の中を歩きたいと思っていた。子供の頃、この絵が好きで部屋に飾っていたことを思い出した。

無人販売が充実している。わらび、ふきのとうが気になった。まだまだ歩くので、購入を見送る。

二上山〜葛城山〜金剛山が綺麗に見えるところにベンチがあったので、休憩する。やまとの里山風景で心が落ち着く。

「景行天皇陵」付近で、少し高台にあがる。小さく大和三山(香具山、畝傍山、耳成山)が見える。万葉集に出てくる山々で、奈良時代にいるような気分に浸る。

部活帰りに飲んだチェリオ。ビビットな色の炭酸のジュースを飲んだことが懐かしい。スコールがあれば飲もうと思ったが、自販機のランイナップは普通だった。

「山辺の道」沿いには棚田も多くて、田植シーズンの訪問も良いだろう。

無人販売で、ちょうど家の前に出来たての大福を並べていた。1つ購入(100円/個)。ペロリと食べる。


天理の石上神宮(いそのかみじんぐう)に到着。境内には神様のお使いといわれるニワトリが放し飼いになっている。


石神神宮からは名所が飛び飛びとなる。西名阪自動車道を越えると、白川ダム貯水池がある。釣り人(鮒釣り?)が多くいる。

小高い山上に「弘仁寺」がある。ひっそりとした、静かなお寺。


天理を越えると、お店がない。しょうがないので、コーラでエネルギー充填。阪神のドラフト1位の井原選手。先日、初先発で初勝利をあげた時に、ベンチでコーラを飲んでいたのがニュースになっていた。

シカの侵入防止柵をいくつか抜けて、「白毫寺」に到着。ここからは奈良市内が見渡せるので、寄ってみた。奈良が一望出来て、ゆっくりできる。観光客は少なく、ここまではインバンドの波は来ていない。
椿や萩などの花の寺で有名だが、閻魔大王が祀られている。自宅には、昔買った閻魔大王の手拭いを飾っている。20年近く、無病息災。ご利益があるのかもしれない。


新薬師寺付近の「麹料理とビオスチームのお店 えん」で、ランチプレートと利き酒セットを注文する。多種多様な食材を使った麹料理。利き酒は「梅乃宿」「花巴」「篠峯」の奈良の酒造の日本酒。

お正月に行ったので、新薬師寺にはは入らなかった。小さいけれど、ここは好きなお寺の一つ。国宝の「十二神将立像」がとにかく圧巻である。薬師寺も良いけれど、新薬師寺に行くことをお勧めする。

入江泰吉記念奈良市写真美術館によって、「大和路の国宝」展を見る。

ならまちの「京勘中井酒店」で、利き酒をして日本酒を購入した。「御代菊」の貴醸酒が珍しいので飲んでみた。その後、「阿吽」を飲む。このお酒は、この酒屋のプライベートブランド。「みむろ杉」で有名な今西酒造が作っている。気に入ったので、2本買ってしまった。



ほろ酔い気分になり、「春日庵さつま焼」で、黒蜜きなこわらび餅のかき氷とさつま焼を食べる。

ならまちは、昔ながらの街並みが残っていて、散策が楽しい。

街中にもシカがいるのには驚く。

猿沢の池まで来ると観光客が多くなる。スタバもあり、外国人観光客がコーヒーを飲んでいる。近鉄奈良駅まではわずか。アーケード街で奈良漬を購入して、お土産で重たくなったリュックを背負って、電車に乗る。

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