【本日の記録】
* 天気: 晴れ
* 歩行距離: 32.6km(※GPSの実測値)
* 累積標高: 上り 591m / 下り 591m(※GPSの実測値)
* 時間: 8時間50分(活動8:30、休憩0:20 ※実測値)
* 困難度: ★★★☆☆
* 宿泊地: 民宿柏坂(愛南町柏)
* 参拝した札所と区間距離(ガイドブック値):
* 米屋旅館 〜 第40番 観自在寺:約19.5km
* 第40番 観自在寺 〜 民宿柏坂:約10km
* 総距離:約29.5km
米屋旅館を出発し、県境の松尾峠を目指す
昨日しっかりと水を抜いてケアをした右足小指の具合を確認しながら、宿毛の「米屋旅館」を出発した。
連日の40km近いロングウォークに比べれば今日の30kmという距離は少し短く感じるが、決して楽なわけではない。距離感覚が麻痺しているだけで、日常生活で30km、8時間も歩き続けることなどありえないのだ。
小指がやられるのは靴幅が少し狭いのが原因だろうと考え、今日は靴紐をいつもより緩めにしてみる。
朝は女将さんに見送られて出発した。旅館の前は実は昔アーケード街で、宿毛の町のメインストリートだったとのことだが、現在はそのような面影は全くない。

また少し進むと、廃墟に近いアーケード街が残っていた。郊外に大型ショッピングセンターができて中心部が廃れるという、地方特有のパターンのようだ。


今日はいよいよ、長かった高知県(土佐)にお別れを告げ、愛媛県(伊予)へと足を踏み入れる日だ。宿毛の街を抜け、愛媛県との県境にある「松尾峠」へと向かって歩を進める。
さらば高知!松尾峠を越えて「菩提の道場」愛媛県へ
菜の花が咲き乱れるのどかな農村地帯を歩いていく。ウグイスの綺麗な鳴き声と、時折猟師の猟銃の音が遠くに聞こえる。


畑や果樹園で時折見かける動物よけの「タイガーくん」という置物があるのだが、最初は何かのいたずらかと思った。これで本当にイノシシが怖がるのだろうか。

次第に傾斜が増し、登山口に差し掛かる。本格的な山道である松尾峠の登りが始まった。


かつての土佐藩の関所跡なども残る、歴史ある遍路道だ。山歩きはやはり楽しい。道は歩きやすいが、最後は急でまっすぐな上りが続く。振り返ると、今まで歩いてきた宿毛の町が見渡せた。
そしてついに、峠の頂上、高知県と愛媛県の県境に到達した。
松尾峠には茶屋跡があり、ベンチが設置されているのでしばらく休憩をとる。標高約300メートルからの海と山の眺望が非常に素晴らしい。


四国遍路において、高知県は「修行の道場」と呼ばれ、札所間の距離も長く本当に過酷な道のりだった。ここで土佐の国境を越え、いよいよ愛媛県「菩提の道場」へと入る。
「菩提」とは、煩悩を断ち切り悟りの境地に達することを意味する。高知での厳しい修行を経て、心が穏やかに救済へと向かうステージに入ったのだ。一つの大きな区切りを越えた達成感が込み上げてきた。
下りはさらに歩きやすい道だ。峠を下りきり、愛南町の中心部へと向かう。
しかし、町まで13キロ以上あり地味に長い。ガイドブックよりも3キロくらい長いような気がして不思議だったが、途中で距離表示が一気に縮まったので、一部の看板の表示が変だったみたいだ。
途中、遍路小屋でかわいい晒しの手ぬぐいをいただいた。小屋には電気まであり、全てが揃っていて快適に野宿できそうなほど立派だった。


40番札所の近くにある「うさぎ堂」というお店で、「いよ盛りプレート」というランチを注文した。地元のお刺身がたっぷり乗った海鮮丼プレートに、小鉢、サラダ、あら汁もついて1000円とは驚きだ。刺身も新鮮でぷりぷり。久良のブリ、ハマチ、タイなど、どれも絶品。メニューにヒオウギ貝の醤油バター焼きがあったので、追加で注文した。


お弁当のおにぎりも良いけれど、こういう良いお店に当たると本当に嬉しい。
愛媛県最初の札所、第40番・観自在寺へ到達
お腹を満たし、愛媛県に入って最初の札所となる第40番・観自在寺に到着した。
この観自在寺は、第1番札所の霊山寺から最も遠い距離にあるため、四国遍路の「裏関所」とも呼ばれる重要なお寺だ。

昨日の延光寺から30km近く。長かった修行の道場を無事に乗り越え、新しい県に入れたことを大師に深く感謝し、本堂と大師堂で読経を済ませた。
観自在寺での参拝を終え、今日の宿泊地である「民宿柏坂」へと向かう。
ここから宿までは約10kmの道のりだ。今日は少し距離が短く、気持ちに余裕がある。新しい県に入ったという新鮮な気持ちが足取りを少しだけ軽くしてくれた。

しかし、愛南町の中心を抜けてからは向かい風が非常に強く、被っている笠が飛ばされそうになるほどだった。交通量も多い道で、菩提の道場に入ったとはいえ、歩くこと自体はやはり「修行」の続きだった。
約30kmを歩き抜き、「民宿柏坂」に到着
最後は海が見えてきて、無事に本日の宿泊地である「民宿柏坂」に到着した。


宿は昭和感プンプンの宿だった。案内されたお部屋は、まさに「昭和の子供部屋」でしょ、といった雰囲気。お風呂のタイルも「こういうのよくあったな」と思いながら、シャワーを浴びる。


今日も約30kmを歩き抜いた。今日は薄手の靴下を履いたら調子が良かったのだが、宿に着いて靴を脱いでびっくり。なんと前回と同じ箇所に穴が空いていた。今回はたった2回履いただけで穴が空いてしまった。

「メリノウールだからといっても弱すぎですよ、モンベルさん!」と、思わず文句を言ってしまったが、ハッと気づいた。
四国遍路の心得を犯してしまった。
お遍路さんは「十善戒」という教えを守りながら歩く。その中には「不悪口(他人の悪口を言わない)」「不妄語(嘘や偽りを言わない、妄言を吐かない)」という言葉に関する戒めがある。弘法大師と常に共に歩く「同行二人」の旅において、愚痴や苦言は大師に向けて言っているのと同じことになってしまうのだ。

晩御飯は、これまた昭和の雰囲気を残すスナック(現在は営業してない)で食事。鯛の煮付けなどバラエティーに富む食事だった。ユーモア溢れるご夫婦だった。


四国遍路もついに愛媛県に突入し、旅は後半戦へと差し掛かっている。明日は愛媛最初の難所と言われる「柏坂」を越えて、宇和島へと向かう予定だ。
【ヤマレコの記録】
詳細なルートの参考用として、ヤマレコの記録をつけておきます。


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