弘法大師生誕1250年記念 特別展「空海と真言の名宝」へ行って四国歩き遍路を振り返る

散歩

はじめに

東京国立博物館で開催されている弘法大師生誕1250年記念 特別展「空海と真言の名宝」に行ってきました。

今年の春先に、四国遍路を通しで歩いてきました。

当然ながらこの特別展には興味が湧き、訪問することにしました。

四国歩き遍路の記録まとめはこちら↓

【完全保存版】四国歩き遍路1200km・36日間の全記録!距離・標高・難易度まとめ
はじめに36日間、ひたすら歩き続けた四国八十八ヶ所。第1番札所・霊山寺での最初の一歩から始まり、第88番札所・大窪寺での結願に至るまで、約1200kmの道のりを無事に踏破することができました。熊野古道、南伊豆ロングトレイル、富士山一周125…

実際には36日間も四国を歩いているときには、お大師様こと弘法大師様と「同行二人」で一緒に歩いた仲なんです。

四国遍路における「同行二人」とは、「弘法大師が常に巡礼者と共にある」という信仰のことです。お遍路さんが突く金剛杖は、お大師様の化身とされています。杖は決して橋の上で突いてはいけない(橋の下でお大師様が休まれているかもしれないから)といった決まりがあり、道中どんなに辛い時でも「一人じゃない、お大師様が見守って一緒に歩いてくれている」と励まされるのです。

弘法大師生誕1250年記念 特別展「空海と真言の名宝」

現在、東京国立博物館の平成館で2026年9月6日まで開催中のこの展覧会は、弘法大師空海の生誕1250年を記念したものです。真言宗十八本山や関係寺院から、国宝や重要文化財を含む88件の名宝、そして普段はお目にかかれない「秘仏」が一堂に集結する、非常に規模の大きな貴重な展示となっています。

弘法大師(空海)について

774年生まれ。官吏への道を捨てて、仏道へ。31歳の時に中国(唐)に渡り、2年間、中国で密教を学びました。もっと若い時に行ったのかと思ったけど、意外と遅いのね。30歳を超えたら、なかなか異文化に入っても、色々なものを吸収しにくいと思っていた。しかし、しっかりと人格形成ができているから、2年間という短期間で色々学べたのかもしれない。そして、835年に高野山に入定。永遠の瞑想に入りました。

ここでいう「入定」とは、単なる「死」ではありません。真言宗の信仰では、空海は肉体を持ったまま生き身の仏となり、今この瞬間も高野山の奥之院で深い瞑想を続け、悩み苦しむ人々を救い続けているとされています。これが弘法大師信仰の根本にあります。

お遍路の結願したあとに、空海が今も瞑想されている高野山の奥の院にお礼まいりしてきました。

その記事はこちら↓ 

四国歩き遍路 お礼参り|1200kmの旅の結び、高野山の奥之院で弘法大師へご報告
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曼荼羅と密教とは

「密教」とは、言葉や文字では簡単に表しきれない、仏の奥深い秘密の教えのことです。空海は、この密教の悟りの内容を文章だけで伝えるのは難しいと考え、仏さまの姿や世界観を「図像」という形で視覚的に教えようとしました。それが「曼荼羅」です。曼荼羅を見ることで、直感的に密教の世界を感じ取ることができるようになっているのです。

展示の構成と印象に残ったもの

展示は4つのエリアに分かれていました。

第1章 空海と真言密教

空海の生涯と、彼が唐に渡って恵果(けいか)から密教のすべてを受け継ぎ、帰国後に日本へ真言密教を広めた歴史をたどるエリアです。

最初に「弘法大師坐像」(和歌山・金剛峯寺)が迎えてくれます。四国では菅笠を被って金剛杖を持った空海の像をたくさん見てきましたが、弘法大師の顔をまじまじと見たのは初めてだったかも。立ち像と違って、非常に穏やかで温和な表情。右手に五鈷杵、左手に数珠を持つ姿がいつもの姿のようである。

第2章 後七日御修法(ごしちにちみしほ)の世界

後七日御修法は、毎年1月8日から14日まで京都の東寺(教王護国寺)の灌頂院で営まれる、真言宗で最も重要とされる最高の儀式です。国家安穏や五穀豊穣を祈るために、弘法大師空海によって835年に始められました。その儀式を営むマニュアルの図面などが展示されてあり、興味深い。達筆な字で書かれている。17世紀に書かれたものであったが、意外と読むことができる。今も脈々と続いているこの儀式。一般の人は見学できないが、動画を見ることができて、雰囲気を感じることができた。

第3章 真言宗各派の名宝

空海の教えを受け継ぎ、時代とともに分派していった真言宗各派が大切に守り伝えてきた至宝や絵巻が展示されています。

【信貴山縁起絵巻(国宝:奈良 朝護孫子寺)】

飛倉巻、延喜加持巻が展示されていた。飛倉巻は、「信貴山に住む命蓮というお坊さんは、食事を得るために魔法の空鉢を麓の大金持ちである山崎の長者の家へ飛ばしていました。長者が怒って鉢を米倉に閉じ込めたところ、米俵を載せた米倉ごと空へと浮かび上がり、慌てた長者が山頂の命蓮に許しを乞うと、命蓮は米俵を鳥の群れのように長者の家へと送り返しました。」というような内容で、絵本のようで面白い。道端に生えている松の木や家並み、人々の衣装なども興味深かった。

第4章 真言宗各派の彫刻と秘仏

普段は厨子や扉の内側に大切に隠されていて見ることができない「秘仏」や、各派に受け継がれる貴重な彫刻が並ぶエリアです。

【十一面観音菩薩立像(重要文化財:三重 観菩提寺)】

33年に1度の秘仏本尊であり、直近では2015年に開帳され、次回は2048年の予定。それが展示されていました。

通常の十一面観音は腕が2本ですが、この像は6本の腕(六臂)を持ち、厳格で凄みのある表情をたたえています。端正で慈悲深い一般的な仏像とは異なり、頭が大きくあごが張った力強い顔立ちで、見る者を圧倒するような厳しい表情を浮かべています。白洲正子氏が「もうほんと、頭下げるよりほかないみたいな、凄まじいものがあってね」と圧倒された像だけありました。

撮影可能な仏像

以下の2点のみ撮影可能だったので紹介します。

・愛染明王坐像(重要文化財:山梨 放光寺)

一面三目六臂(顔が一つ、目が三つ、腕が六本)の姿で、弓と矢を天に向けて射るようなポーズをとっていることから「天弓愛染(てんきゅうあいぜん)」と呼ばれる非常に珍しい像です。怒りの姿でありながら、どこか穏やかな表情も感じられ、平安時代の仏師による優れた造形技術が伺えます。

・五智如来坐像(国宝:京都 安祥寺)

大日如来を中心に、阿閦・宝生・阿弥陀・不空成就如来の5体で構成された仏像です。大日如来が備える5つの智慧(五智)を象徴しています。五体が揃った五智如来像としては現存最古のもので、平安時代前期らしい量感と力強さがあり、まさに圧巻でした。

今回の特別展は、春先に四国遍路1200kmの道のりを歩ききったばかりだったからこそ、より深く心に響くものがありました。

長い過酷な道のりの中で、常に心の支えとなっていた「同行二人」のお大師様。その存在の大きさや、1000年以上脈々と受け継がれてきた真言密教の奥深さを、歴史的な名宝や圧倒的な仏像の数々を通して改めて体感することができました。

ただ名所を巡るだけでなく、自らの足で歩いた後にこうして歴史や背景を深く知ることで、旅の記憶はより立体的で色鮮やかなものになっていきます。

これからも、自分の足で歩き、見て、深く感じる旅を続けていきたいと思います。

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