東京ドームのすぐ隣にあり、以前から気になっていた「小石川後楽園」へ散歩に行ってきました。
東門は、東京ドームシティの黄色いビルの裏手にあり、水道橋駅からも歩いてすぐの場所にあります。
外から見ると白い塀で囲まれていて、こぢんまりとした印象を受けていたのですが、実際に足を踏み入れてみるとその広さに驚かされました。なんと、東京ドーム約1.5倍(約7万平方メートル)もの広大な敷地面積を誇るのです。
小石川後楽園の歴史と名前の由来
小石川後楽園は、江戸時代初期の寛永6年(1629年)に、水戸徳川家の初代藩主・徳川頼房が江戸の中屋敷の庭として造営を開始し、二代藩主である徳川光圀(水戸黄門)の代に完成した大名庭園です。
光圀は庭園の造成にあたり、明(中国)から亡命してきた儒学者・朱舜水(しゅしゅんすい)の意見を積極的に取り入れました。そのため、園内には随所に中国の情緒豊かな景観が散りばめられています。同時に、京都の嵐山(渡月橋)や琵琶湖、木曽川など、日本国内の景勝地を模した「見立ての景色」も数多く配置されており、和漢の文化が見事に融合しています。
「後楽園」という名前の由来
この名前も、朱舜水の進言により名付けられました。中国の北宋の政治家・范仲淹が記した『岳陽楼記』の中にある言葉、「天下の憂いに先だって憂い、天下の楽しみに後れて楽しむ(先憂後楽)」に由来しています。「上に立つ者は、誰よりも先に国のことを案じ、人々が楽しんだ後に自身も楽しむべきだ」という、為政者としての光圀の哲学が込められた素晴らしい名前です。
いざ、小石川後楽園を散策
東門から入園(入園料は大人300円)し、園内へと足を踏み入れると、まずは「内庭」と呼ばれる小さな池のあるエリアに出ます。
ここはかつて水戸藩の書院があった場所です。昔はこの内庭と奥の庭園が区切られており、「唐門」が正式な後楽園への入り口でした。元の唐門は戦災で焼失してしまいましたが、令和2年(2020年)に再建されたばかりの真新しい姿を見ることができます。

今回は、園内を反時計回りで散策しました。
花菖蒲園から光圀の思いに触れる稲田へ
赤門の横を通り過ぎると、ちょうど今が満開の花菖蒲園に到着します。季節によって主役となる花が変わり、7月に入るとハスやヤマユリの花が楽しめるそうです。

花菖蒲園のすぐ横には、小さな「稲田」があります。これは、光圀が「農民の苦労を後継ぎの妻(身内の者)にも実体験として教えるため」に作らせたものだそうです。現在でも、文京区の小学生たちが田植えと稲刈りを行っており、都会の真ん中で大切な学びの場として機能しています。

梅園から八角堂跡、そして円月橋へ
さらに奥へと進むと、立派な梅林が広がっています。光圀は自らの号を「梅里」と称するほど梅を深く愛していました。
その先の小高い山を登ると、「八角堂跡」に到着します。ここからは、庭園の中心である一番大きな池「大泉水」を少し見下ろすことができます。

小山を下っていくと、朱舜水が設計したとされる「円月橋」が現れます。水面に映る橋の影が、本物の橋と合わさって「満月(円月)」のように見えることからその名が付きました。江戸時代から焼失を免れて残っている貴重な構造物です。

白糸の滝を模した涼しげな滝を過ぎると、いよいよ大泉水です。

この池は琵琶湖を見立てて造られており、蓬莱島と竹生島が浮かんでいます。風のない穏やかな日には、水面に「逆さ東京ドーム」が映り込む、現代ならではの風景を楽しむこともできます。

史記のロマンを感じる「得仁堂」
その後、左奥(北西方面)へと向かいます。中国の杭州にある名所を模した「西湖の堤」を眺め、京都・嵐山を模した「渡月橋」を渡って小山を登ると、「得仁堂」が静かに佇んでいました。
ここは、光圀が司馬遷の『史記』に収められた「伯夷列伝」を読んで深く感銘を受け、伯夷(はくい)と叔斉(しゅくせい)の木像を安置したお堂です。歴史や哲学の読書録をつけている身としては、光圀がどのような思いでこのお堂を建てたのか、大いに想像を掻き立てられました。

以上で小石川後楽園を一周し、西門から外へ出ました。
都会のど真ん中とは思えないほどの静寂と、想像以上の見どころの多さに驚きました。歴史ある日本庭園と、背景にそびえる高層ビルや東京ドームとのコントラストが、意外にも良い味を出しています。東京ドームを訪れた際には、ぜひ立ち寄ってみることをおすすめします。
寄り道:日中友好会館と「心惹かれるチャイナドレス」展
小石川後楽園の西門を出てすぐの場所に、「日中友好会館」がありました。
ここは、日中両国の友好と文化交流を目的に設立された施設で、美術館やホール、留学生の寮などが併設されています。
ちょうど美術館で、入館無料の特別企画展『心惹かれるチャイナドレス』が開催されていたので立ち寄ってみました。小さな展示室でしたが、見学者がいっぱいでびっくり。

1900年代〜1940年代の歴史的なチャイナドレスが展示されており、詳しい歴史解説もありました。私たちが現在イメージする体にぴったりとフィットしたチャイナドレスとは異なり、昔のものはゆったりとしたシルエットだったのが印象的でした。

もともとは清王朝の満州民族の民族衣装である「旗袍(チーパオ)」を起源とし、そこに西洋の立体裁断などのファッション要素が影響を与えながら、現在のような形へと変化していったのだそうです。思わぬところで、服飾の歴史に触れることができました。
小石川後楽園へのアクセス
小石川後楽園には「東門」と「西門」の2つの出入り口があります。利用する駅によって近い門が異なりますので、参考にしてください。
- 水道橋駅から(東門へ)
- JR中央・総武線「水道橋駅」西口から徒歩約5分
- 都営地下鉄三田線「水道橋駅」A2出口から徒歩約8分
- ※東門は東京ドームのすぐ近くにあります。
- 後楽園駅・春日駅から(東門・西門へ)
- 東京メトロ丸ノ内線・南北線「後楽園駅」から徒歩約8分
- 都営地下鉄大江戸線・三田線「春日駅」から徒歩約8分
- ※どちらの門へも同じくらいの距離です。
- 飯田橋駅から(西門へ)
- 都営地下鉄大江戸線「飯田橋駅」C3出口から徒歩約3分
- JR中央・総武線「飯田橋駅」東口から徒歩約8分
- 東京メトロ東西線・有楽町線・南北線「飯田橋駅」A1出口から徒歩約8分
- 日中友好会館側に抜ける場合や、西側からアクセスする場合はこちらが便利です。


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